模型飛行機のエンジンやミニ蒸気機関車のパーツなどを手掛けるシバタ精密 (上山市、柴田公社長)は、加工技術を生かしてワカサギ釣り用の電動リールを開発した。 用具の性能に加え、つくりの精巧さにもこだわる釣り人のニーズに応え1点ずつアルミ素材を 削りだした手作り。パーツ加工の誤差は100分の1ミリ単位までこだわる逸品に仕上げている。 シバタ精密は、「O.S.ENGINE(オーエス・エンジン)」のブランドで、無線操縦の飛行機や 車向けのミニエンジンや実際の石炭を使った乗車用ミニSLの世界的シェアを持つ小川精機 (大阪市)へ部品を提供。電動リールにはこの技術を注ぎ込んでいる。 開発に当たった柴田公平工場長は「釣り用具には芸術品にも近い木工製品が多い。 当社の得意な金属でその域に挑戦した」と語る。 リールの本体は縦約8センチ横約4センチで手のひらに納まる大きさ。 2枚のアルミ板の間にモーターや巻き取り部などを納め、糸の巻き上げ時に回転軸がぶれないよう 高度な加工精度にこだわった。 各パーツがしっかりと組み合わさるため、本体は2本のボルトのみで固定されている。 気密性を高めた円筒の電池ボックス、リールの回転を固定するフックなど複雑な形状の部品も 削りだしで仕上げ、ボディーのアルミ板は内側を削って本体重量を132グラムまで軽量化。 ワカサギを釣る上で最も重要となるさおの穂先の動きは、試験を重ねながら2種の金属を組み合わせ、 強度としなやかさを実現した。 県内ではワカサギ釣りが盛んに行われているスポットが少ないことから、専用環境が整い、 関東地区から多くの釣り人が訪れている福島県の桧原湖に出向いて電動リールをPR。 口コミやインターネットで人気が高まっているという。 柴田社長は、蔵王温泉の盃湖でワカサギ釣りを観光資源とした取り組みも構想中で、 地元自治体など関係者に協力を呼び掛けている。電動リールは「FAT−FIN」と名付け、価格は2万6250円。
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